はまじぃの物語~第6章「家族」~

楽しい毎日が過ぎていく。

仲良しのワンコ友達もたくさんできた。

はまじぃとお友達 はまちゃんとお友達 はまじぃのお友達

僕はずっとずっとこの楽しい毎日が続くと信じていた。

いつも彼女の傍にいられる。
僕が元気でいると彼女はいつも笑顔だ。
僕がはしゃぐと彼女も笑う。
いっぱいご飯を食べれば笑ってくれる。
僕が何をしても笑顔でいてくれる。
僕はとっても幸せだ。

はまじぃのものがたり

そんな幸せな毎日はあっという間に過ぎていく。

彼女と初めて会った日からもうすぐ3年が経とうとしていた。
そして、ついにその日が訪れてしまった。
その日、彼女は出掛けて行った。

「はまちゃん、じゃあ出掛けてくるね。お利口にしててね。」

僕はいつも彼女が出入りしている扉の前で腰をおろした。
今日はなんだか身体がとても重い感じがする・・・
あまり動きたくないな・・・
僕はその後、深い眠りについてしまった。
気が付けばもう夕方になってしまっていた。
僕は扉の前ではなく、いつもの寝床にいた。

「ただいまー。」
彼女の声が聞こえた。
いつもなら跳んで迎えに行くのに
僕は立ち上がる事が出来なかった。

彼女が僕に近づき、驚いた顔で職員さんに声を掛けた。
「どうしたの?なんで?はまじぃ調子悪いの?」
彼女は僕を心配そうに見ている。

職員さんは答えた。
「今日一日、ずっと扉の前で待っていて・・・。」
「1歩も動かないし、ご飯も全く口にしなくて・・・。」

それから僕はお医者さんに診てもらい点滴してもらうことになった。
でもやっぱりお腹は空かないし、身体がとても重いんだ。

彼女は毎日、何度も声をかけてくれる。
「はまちゃん!元気になれるからね!」
笑顔だけど目が潤んでいるのがよくわかる。

でも、僕はもう彼女の声が聞こえても顔を起こすことができなくなってきていたんだ。
点滴をしてもらって1週間。
僕はもうずっと何も食べていない。

誰かに話している彼女の声が聞こえてきた。

「お、ね、がい、します。
ずっと、はまちゃんを家族として迎えたいと考えてきました。
けど、先住犬は犬が嫌いではまちゃんを受け入れてくれない。
元々、歩けなかったはまちゃんは、いずれまた介護が必要になる。
大きい体のはまちゃんを一人暮らしの私が責任を持ってみてあげられない。
だから、家族としては不適切な人間だと躊躇していました。
けど、もしかしたら。。。このまま。。。と考えると、どうしても今日は
はまちゃんをお家に連れて帰り、た、い、んで、す。
わ、がま、まだと、わかって、いる、んで、すが、お願いします。」

彼女は震えた声で途切れ、途切れに話し終え、僕には見えないように
大きな声を出して泣いていた。

彼女は必死で僕には悲しい顔を見せないようにしていた。
けど、僕はもうわかっていたんだよ。
命に「永遠」はないってこと。

「もちろん、OKに決まってるでしょ!」
「早く、準備!準備!」

OKが出た瞬間、職員さん、お医者さん、看護師さんみんなで準備を
してくれた。立てなくなった僕を優しいみんなが運んでくれる。

「はまちゃん、よかったね。今からお家に一緒に帰れるんだよ!」
「頑張らなきゃ!」
みんなが笑顔で励ましてくれている。
僕はこの時初めて、念願だった彼女のお家に一緒に帰る事ができたんだ。

 

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